スピーチバルーン - 大瀧詠一 (おおたき えいいち)
ほそい影は人文字
海の背中に伸びている
君は春の客船
冬の港 見てるだけ
言いそびれて 白抜きの言葉が
風に舞うよ
音の無いスクリーンだけを
眺めてるように
吐息ひとつスピーチ・バルーン
0にならない飛行船
君は耳に手を当て
身をよじるけど何も届かない
投げた Tape 絡まり
気まずさだけ伝わって
動き出した甲板は
君の人生運び去る
言いそびれて 白抜きの言葉が
波に浮かぶ
想い出のブラス・バンドが
耳元を過ぎる
暗い海に向かって
ヘッドライトのパッシング
君は泣いているのか
もう遠すぎて何も映らない