静寂の月 - 三澤秋 (Aki Misawa)
雨夜の月満ちて
ざわめく星の声が降る
遠くに鈴色の音を追う
引かれて入るは
幻想の都へ誘う路ならば
さあ躊躇うこともなく
夜の隙間へ踏み出す
導くように聞こえる歌は
さらに深く奥へ続いて
どこまでも落ちてゆくように
夜露が落ちる時
さざめく野に吹く風止む
扉を照らし出す月明かり
開かれたのは
現世と鏡合わせの路ならば
刻の間へ踏み出す
ひらり漂う花の薄紅色が
静かに燃えている
奈落へ落ちてゆくように