クノエル - 犬丸芝居小屋
词:犬丸梅吉
曲:犬丸梅吉
「プレゼントは何が欲しい?」
「しごとをしないパパ」
少女は無邪気に笑った
男の表情読めなかった
「良い子の元にしか
サンタさんは来ないのよ」
ママは笑顔で
冬の口癖を言った
「パパのために
いいこでいなきゃだね」
一人分の手料理は
今日も冷めていく
『授業で描いた家族絵
ふたりしかいないのです』
幸せな風景
溶けて水の泡
あの人の顔が見えないの
知らぬ間に誰かの心は
今日も冷めていく
「苦しいです
サンタマリア」
男はそう叫んだ
正しいとか正しくないとか
選択肢は無くて
「苦しいです
サンタマリア」
男は膝をついた
戦うとか戦わないとか
どうあがいても負け犬
クリスマスの当日に
サンタさんはやってこない
代わりにパパがそこにいた
しごとをしない
パパがそこにいた
見慣れない大きな装飾
キラキラのツリー
クリスマスの当日に
サンタさんはやってこない
しごとをしない
パパがそこにいた
ツリーに
吊られてる男がそこに
ママの叫び声
鼓膜が震える
サイレン音
「苦しいです
サンタマリア」
男はそう嘆いた
家庭にも社会にも
見放され火の車
背水の陣
「苦しいです
サンタマリア」
男はそう溢した
しごとをしない
パパになろうとあの日
背中押された
「ごめんなさい
サンタマリア」
少女は泣き叫んだ
端から自分は悪い子だと
良い子じゃなかったと
「良い子になります
サンタマリア」
娘はそう誓った
すべて捨てた父親の指が
微かに動いた
『プレゼントは何が欲しい?
仕事をしないパパ』
あの日欲しかったものは
もういらないの?
彼女の表情
読めなかった