沈んでゆく 町の色 逆光
夕暮れの果て
目を細めて 見送った 茜と
真夏の風
汗ばむ手をすり抜けて
遠く霞んだ
記憶の縁なぞっていくのは
いつかの声
揺らいでも ただ途切れても
いつの間にか また そこに在る
繰り返しは 重く響いて
僕の中をまた濁す
名前など 付けられなくて
この胸に影を落とす
遠く鳴り響く
あの日の声
黄昏には 足早な 雑踏が
道を埋める
目を細めて 見送った あの日と
重なる影
呼ばれるような気がして
瞼を閉じた
あり得ない事と知っているから
揺さぶられる
痛みでも たとえ傷でも
そこに留まる事で全て
いつまででも 形変えても
僕の中をまた満たす
どうしても 消し去れなくて
この耳に君を残す
二度と戻れない
夏の残響
色褪せてく その音に
時折 耳済ます
消えてしまわないように
歪みでも 穿つ穴でも
失したくないものがあって
いつまででも 形変えても
僕の中に在るように
祈りでも 願いでもなく
ただここに深く響く
僕の名をなぞる
あの日の声
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